2010年7月3日土曜日

HIFANA -電話 / Damn What Ringtone- (2)

というわけで前回のエントリーの続きです。
今回は映像のシナリオ演出よりも、具体的に制作のテクニカルな部分を解説します。


トリートメントやストーリーボードなどをある程度の形にしたら、HIFANAやW+KがOKサインが出たので早速制作。映像のコンセプトはリピート再生される着メロのイメージを「図形が反復された世界」で表現することでした。ですが、当初頂いた音源と制作の過程においてブラッシュアップされた音源がほとんど別曲と思える程アレンジが加わっていた(爆)ので、上記のコンセプトでは音楽に対する映像のアイデンティティが弱いと感じるようになりました。そこで音源の中に含まれてる「携帯電話のバイブ音」がこの曲の個性と判断した私は、ソレを視覚的に表す手段としてカラーノイズのような効果を思いつきました。


上の画像はそれぞれ色の異なる素材で制作したコンポジットです。この三つのコンポジットを一つのコンポにまとめて、レイヤーの描画設定を「乗算」させることで。。。
このような白黒のオブジェクトの際にカラーノイズが現れてる様な効果を出すことに成功しました。(ちなみに実際のビデオにはノイズフィルターやグローフィルターを加えてよりリアルな演出を加えている)





あとよく見るとわかると思うんですが、アニメの世界が所々空間の広がる演出が出来てると思います。これはカメラレイヤー+3Dレイヤーを組み合わせて三次元的な空間を再現しました。これはHIFANAに「視覚的な錯覚やトリックを映像の演出に加えて欲しい」という要望があったのです。

上の画像は別アングルで見たコンポ。実は3DCGソフトで素材は作らず、イラレのデータで人力ポリゴンを作り、立体的な背景を演出しました。なんでわざわざこんな回りくどい事をしたかというと、単に僕が3DCGが出来ないだけなのですが。。。(笑




3Dレイヤーを駆使した別のシーン。




あと今回の制作で一番大変だったのがCOWMANの腕の動き。有機的になめらかに動いていますが、これは一コマずつ素材を作らず一枚のイラレのデータにペジェワープというディストーション系のエフェクトをかけ、それを腕のような形に変形、動きを補完しました。もちろん手や胴体は別の素材なので、腕の付け根とソレらのパーツが上手く馴染むのにはかなり時間をかけたと思います。



という感じに、上記のテクニック以外にも細々としたフィルターやキーフレーム補完を駆使して一本のアニメを作ってきました。シンプルなビジュアルに見えて実は細かい工夫がなされているのです。



クライアントワークを通じて色んな事を学んだ訳ですが、一番痛感したのが「みんなで面白いものを作っていく」という目標を共有するW+Kの姿勢。なのでアートディレクターのシェーン氏を始め多くのスタッフの方が制作過程において、いろんなアイディアやアドバイスをして頂きました。僕は今回の仕事をする前までは他者の意見を反映させすぎる事に少し抵抗がありました。それは作品に自分ではない他人の血が混じる様なクリエイティビティの濃さに影響されると思っていたから。。。でもそれは僕の勝手な思い込みであって、彼らは僕の考えてる理想をより良い形にするために背中を後押ししていたんだと思います。


という感じでHIFANAのMV制作の裏話はこのへんで。
今後の作品の制作過程などを描いてこうと思います。

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