2019年12月31日火曜日

2019年の総括と気になった映像作品集

今年、、、というか昨年の11月に第一子が誕生したということもあり、2018年の総括的なことをすっかりすっぽかしてしまい更新が2年ぶりとなってしまった。年末恒例の短編映像作品で気になった作品をチョイスするエントリーを今年もやってるのだが、仕事の環境のことや格ゲーのことなど色々書きたい事が増えたので興味ない人はすっ飛ばして欲しい。



事務所に所属したこと
今年は育児の大変さと日々成長する子供の変化への驚きと共に、マネージメント事務所に所属し環境の変化がとても大きい一年だったと思う。大学を出てそのままフリーランサーとして仕事するようになって上司部下といった味方が7年近くいなかったが、今年になって初めてどんなことがあっても自分の味方をしてくれるマネージャーが現れたのはとても感慨深い。報酬の交渉や先方とのやりとりが一つの窓口に集約されたことで仕事のストレスがだいぶ減少したなと実感してる。

マネージメント事務所に思うところがある人もいると思うけど、仕事において思ったことを相談すると常に(自分の味方をしてくれるので気持ちのいい)言葉が跳ね返ってくるキャッチボールの相手が出来たことで企画や演出を提案する時に自信がつきやすくなったのがとても大きい。

今年は企画を考えることから仕事を頼まれる機会が少し増えたので、2020年は企画力をあげれるように頑張りたいところ。やるっきゃ内閣。




格ゲーのこと
前回のblogを読んでくれた方にはご存知のように2017年から格ゲーに復帰しまして、中々ゲーセンでセイヴァー充とは行かなく、育児で外に出れない時はsoulcaliber6を勤んでる。何気に初の3D格ゲーの対戦に挑んでるわけだが、中々覚えることが多くて難しいがテンポの良さとガンガン技を振る楽しさがとても楽しい。サムスピもリブートされてアートスタイルが昔自分が部分的に演出として関わったMVでやりたかったことをハイエンドに表現してて羨ましかったw

来年はセイヴァーをやる時間を今年よりも増やしていける予感はする。キャリバーのリーサルヒットのような大ダメージを与えて気持ち良い瞬間がセイヴァーにも欲しくなったので最近はチェーンダクネスの練習を空いてる筐体でチャレンジするようにした。中々繋がらないけど、咄嗟にぶっ放すことは少しできるようになったので来年は対戦でチェーンダクネスを決めるのが目標。あと押し付けられてキレないようにするのも目標。

育児と仕事もあるけど、格ゲーやって喜怒哀楽が揺らぐ瞬間は最高に生きてる実感が増すので、これからもじっくり続けて行きたいなと。



今年の仕事のこと

Station ID「Shapeshifter」 from SPACE SHOWER TV on Vimeo.
今年やった仕事はdaisuke tanabeのMVみんなのうたフレデリックのアルバムトレーラーなど手応えのある案件を沢山出来た良い年だった。その中で一番のお気に入りは8年ぶりとなるspaceshowerTVのstationIDのディレクションに関われたのがとても嬉しい。前回のIDは、当時もっともカッティングエッジな映像を作ってたモーショングラファー達が自由な感性でIDを作るという企画に何故か私も参加することになり、言い方が屈折してるが自分よりもデザインセンスの良いクリエイターに比較されてしまうため、逆張りとしてコミカルな方向で正面から勝負しない映像を作った。しかし今回は比較されるものがないため、素直に自分がカッコいいと思えるビジュアルアイデアを詰め込んだ映像を素敵なアニメーター達と一緒に作れて満足している。何気にオーディオビジュアルを題材にした作品も久々なので、自分のアイデンティティに立ち返ることが出来たいい仕事だったかなと!





そして2019年の総括へ
2017年の総括を今さっき見返したがK-POP界隈が新しい映像表現の波音を立てて押し寄せてる感じがしたが、2018年にはKポ的なMVのテイスト(フィクスでグラフィックっぽく・カラーライト・意味深な静物インサートなど)が客体化され始め日本のディレクターにも引用されることになったのが印象的でした。2019年は映像単体よりもカルチャー全般での流行の傾向としてヴェイパーウェイブの大衆化が一番印象的だった。あとイラストもリアルクローズドなファッションを身に纏ったコミック系のイラストの認知度の高まりというか、コミティアやコミケに行くとオシャレなオタクがかなり増えたなと。

モーショングラフィックスに関してはローファイ感のあるルックでアニメーションが饒舌に動かないレイアウトがカッコいいものが印象的だったかなと。コレとかコレとか。その中でも自分の選ぶものはオーディオビジュアルやアートスタイルの開発、イラストの魅力を引き立てるモーショングラフィックスが素晴らしい作品のチョイスになったと思う。





lost found melody from mozuya on Vimeo.

日本の同人映像カルチャーで一番リスペクトしてるmozuyaさんの新作が2019年でも見れることにまずは感謝せざるを得ない。スリリングなチップチューンに合わせて荒廃した都市を空間的なアングルからインディーゲームのような2Dビットマップルックに切り替わり驚きのある仕掛けで見る人を映像に釘付けにさせてくれるはず。何より音楽がまるで映像のために作られた(もしくはその逆かもしれない)かのように、主人公の焦燥とした心情をセリフの代わりに音楽が饒舌に語りかける。新しいオーディオビジュアルを体感させてくれる傑作だと思う。



パソコン音楽クラブ − reiji no machi from tao tajima on Vimeo.

音楽を聴きながら目の前に映る景色が輝いて見えた時期があった。新しいジャンルや文化を纏った音楽に気持ちを煌めかせた頃のフレッシュな心をこのMVが取り戻してくれた。今となっては木曜夜のソウルキャリバーの対戦会が行われている秋葉原のイースポーツスクエアに向かう電気街中央口から見えるUDX近辺の街明かりを観ながらパソコン音楽クラブを聞いている。



Table Top from Gunner on Vimeo.

フラットなパスグラフィックのキャラクターが水晶のようなCG越しに映るとキャラクターの指先が立体感のあるマットな質感の3DCGに変化する。異なる質感を同じ画面に共存させる驚きを表現すると「ハイパーさ」を押し出すことが多かったが、「水晶体を通した画面の情報量の見え方」というアイデアを細やかな眼差しで表現している。



Jimmy Stofer — The Trembling Giant (Official Music Video) from Arina Shabanova on Vimeo.

マティスの「ダンス1」を彷彿させるようないい意味で稚拙なシルエットのアニメーション。動画カルチャーがtwitterを中心になった今日、ミニマルな色彩・形が踊り出すだけで愉快な気分にさせてくれるアニメーションが他にあるだろうか。今にも音が割れそうな弦楽器の重厚な響から、こんなにも軽快なアニメーションが生まれるのもミュージックビデオとして面白い。




The Looking Glass from Tyler Morgan on Vimeo.

ダイナミックなレンジのアニメーションでグラフィックの格好良さを際立たせた秀作。グレイッシュな背景色にマルチチャンネルのオブジェクトが偏りなくレイアウトされてるのも今っぽい。





HELPING HANDS from Oliver Sin on Vimeo.

手がキャラクターになったシニカルな表情が憎らしい。フレームの中にさらにフレームがあるレイアウトもvimeoのトレンドとしてかなり認知されつつもこの作品でさらにアップデートされている。フレームインフレームは16:9のアスペクトを額縁のように見せたいものをオシャレに注目させる効果がある一方で、画面の情報量が少なくなりやすく、レイアウトの構造も単純に見えてしまう。しかしこの映像はフレームインフレームを使いつつも色面分割しつつ、フレームのキワにナメ物を置くことで額縁効果を得ながら画面を大きく見せることに成功している。





LINK from robert loebel on Vimeo.

草原に現れた二人の人間(と思われる生き物)の毛髪が何故か繋がっているという奇妙なプロット。次第に毛髪が長くなっていき行動を共にしてた二人が別々の行動を取り始めるがまるで人生における腐れ縁のように二人の行動が糸電話のようにリンクし合う。動きとサウンドトラックの間が絶妙で育児で疲れた夜に何気なく観たら癒されてしまった。



31. Filmfest Dresden Trailer from robert loebel on Vimeo.

動きとデザインがかなりツボってしまった。



Gucci Hallucination Animations from The Line on Vimeo.

イラストを作画アニメーションを極力使わないでリッチに見せる映像の最高峰。



最後二作品がやや言葉足らずになってしまったが(なぜなら今こうしてタイピングしてるのが大晦日の夜1時だから)、今年の個人的に推したい作品を選んでみた。今年はかなり好みが偏った結果になったと思いつつ、Gunnerのアニメーション群の出会いはかなりの収穫だった。グラフィック色の強いアニメーションの最もコンテンポラリーな仕事の数々はとても刺激的でした。

来年はこうして自分が誰かの作品を総括して紹介してるように、誰かの総括で自分の仕事を紹介してもらえるように頑張れればと思います。