2011年12月6日火曜日

【ご報告】学生CGコンテスト受賞&ノミネート!

そんなこんなで毎年日本中の若いクリエイターを輩出してる学生CGコンテストで、cokiyuの音楽のために映像を付けた"Your Thorn"が優秀賞、羽深由理とPUPIのトリオで挑んだステーションID"animatope"が最終ノミネート50作品の一つとして選ばれましたーーー!応募を許可していただいた関係者の方/制作に協力してくれたチームのみんなに感謝感激でございます。。。


実は学部2年の時から毎年応募してたコンペで、今まで箸にも棒にもかからなかったのですが、大学を卒業する年でやっと過去のリベンジを果たせて嬉しい限りです。なにより自分が今まで積み重ねて来た研究が評価されたのが本当に嬉しい。































アニメーション評論家の土居伸彰さんから詩的なコメントも頂いちゃいました。。。!
学生CGの公式サイトでは、他にも一癖二癖ある作品がご覧になれますので、是非ご覧になってみてください!2月に品川のキャノンオープンギャラリーでYour Thornは上映されるので、展示の詳細が決まりましたら改めて告知させて頂きます!!!

2011年11月4日金曜日

DOTMOV2011 & onedotzero J-Star'11

嬉しいニュースです!
このたびcokiyuのMV"Your Thorn"がDOTMOV2011というデジタルフィルムフェスティバルに優秀作品として入選されました!!! 下記のリンクにイベントの詳細や上映スケジュールなどが書かれております!

























DOTMOV」は、未知なる才能を持ったクリエイター発掘と作品紹介の機会の創出を目的に開催されるデジタル・フィルム・フェスティバル。世界中から作品募集を受け付け、寄せられた作品は、ゲストクリエイターにより優秀作品を選出、ウェブサイトでの公開に加え、2011年11月より国内外の会場で上映します。今年集まった作品総数は、世界18カ国から208作品。
http://www.shift.jp.org/mov/



それと、昨年制作したHIFANAのMV"電話 / Damn What Ringtone"がonedotzeroというイギリスのデジタルフィルムフェスティバルのプログラム「J-Star'11」に招待されました!!!日本にも巡回しないのが残念ですが、海外の方に自分が関わった仕事が紹介されて感激ものです!!!











http://www.onedotzero.com/

2011年10月27日木曜日

【VJ】cokiyu "Your Thorn" Release Party @ VACANT 報告




ご報告がだいぶ遅れましたが、9/30に原宿VACANTで行われたcokiyu "Your Thorn"のリリースパーティーが無事終了しました。僕含め、VJ PLUMの二人と自然写真を研究し新世紀を開拓する写真界のハイパーメディアアーティストでいらっしゃる山本渉 a.k.a. wattyの四人のメンバーで、cokiyuの音楽を引き立たせるためビデオクルーとして参加させて頂きました。今回のエントリーでは当日の映像演出の話をしようと思います。



















photo by Yukiyo Kawahara



今回のミッションは以前作ったcokiyuのYour ThornのMVの完成直後に話が舞い込みました。もともとリリパを行う予定はないと話は聞いてたし、VJ自体も僕は否定的に見てたので依頼を断ろうと思ってましたが、何かを否定して拒絶するのは簡単な事だし、この前の映像作家100のリリパでVJというモノの見方が少し変わったので、自分なりにライブに映像を付けることとはどんな事なんだろうかと思い、今回のミッションを承諾しました。


 当日のセットリスト
1. intro (30秒くらい) + Recall
2. With My Umbrella
3. Drag The Beast
4. Hedgehog's Wedding
5. Textured Clouds
6. Round in Fog
7. Mirror Flake
8. Your Thorn
9. Star Takes A Rest -for nc mix-
10. See The Sun

 アンコール
11. Roadz


初めてライブのセットを通して聴いた時に物語性を感じさせられたので、ライブセットに一つの大きなテーマ(全ての曲に共通したテーマ)を与えて、全ての楽曲に固有の映像を与えるつつ、どこか起承転結を感じさせるような演出を提案しました。




















photo by Yukiyo Kawahara



映像演出のテーマはYour ThornのCDジャケットや自分が作ったMVの世界観(森と水で満ちた世界)で統一して、曲のセットが進むにつれて映像が描くモチーフがどんどんミクロからマクロに変化するように構成しています。そのためYour ThornのMVの素材を応用させて使っただけでは足りなかったので、新規にビデオの素材やwattyに写真素材を提供してもらって加工したりして、最終的に二週間ちょっとで80本以上のVJ素材を作ることになった(死ぬかと思った...)

各曲に対する映像のアイディアは以下の通り


1. intro+ Recall(旅の始まり)















2. With My Umbrella(菌)















3. Drag The Beast(細胞)















4. Hedgehog's Wedding(花と鳥)


5. Textured Clouds(星の森)















6. Round in Fog(水の森)















7. Mirror Flake(鏡の森)
















8. Your Thorn(反復説,,,MVと同じ映像を同期)















9. Star Takes A Rest -for nc mix-(白い宇宙/Your ThornのMVの続き)















10. See The Sun(旅の終わり)




 











 アンコール
11. Roadz
(花と火)
















VJ PLUMやwattyの協力なしでは、全ての楽曲に映像を付けるのは不可能だったと思うし、自分とは違ったセンスを持った作家を呼ぶことで全然異なるビジュアルが生み出せるんじゃないかと期待していました。

いわゆる光を操作する照明の延長として存在する映像ではなく、作り込まれた映像やビジュアル、フレームの外に世界が広がってるようなダイナミクスを持った映像を音楽に同期させる事にいまはとても可能性を感じています。VJの見方が今回の仕事でかなり変わりました。

 また機会があればcokiyuさんや、今回のビデオクルーを集めてもっと壮大なパフォーマンスをしたいです!!!(次こそライブDVD作りたい!)関わって頂いた皆さんには本当に感謝です...










2011年9月18日日曜日

【VJ】flau presents cokiyu “Your Thorn” release party




















という訳で、先日発売したばかりのcokiyuの2ndアルバム"Your Thorn"のリリパが9/30に行われるんですが、そこでcokiyuのライブの映像演出を僕が中心になって、自然写真を研究していらっしゃる"山本渉 a.k.a. watty"とイケてるVJユニットの"VJ PLUM"という美少女と好青年のユニットと三組でやらせていただきます。

ライブセット全てに固有の映像を付けるというKraftwerkミニマム・マキシマム気取ってる感じにしようと思っています。しかし、わたくし事で恐縮ですが、ライブの一週間後は大学院の審査会なのに仕事を引き受けてしまい「どどどどどうしてこうなった?\(^o^)/」という感じでマジウンコ漏れそうなほど焦っております。

と言いつつも、みんな気合い入れて映像作っている(wattyはビデオ素材を8ミリで撮影してるらしいです)ので、普通のライブのVJとはひとひねりしてる演出にご期待ください!大学のお友達やお父さんお母さん(あと犬とか猫とか)、もちろん気になるあの子とかも誘って原宿のVACANTでcokiyuナイトをenjoyしちゃいなYO!!!




イベント詳細はコチラ
会場:原宿 VACANT
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
チケット : 前売り 2,000円 / 当日 2,500円 (1ドリンク別)
* 前売りチケットメール予約 event@flau.jp (flau)
お名前・ご連絡先・枚数を明記の上、上記のアドレスまでご送信ください。

ライブ:
cokiyu with itoken + VJ:Takashi Ohashi, VJ PLUM, 山本渉
trico!

sawako
with Kazuya Matsumoto
DJ : Osamu Matsumoto (Linus Records)
PA: 福岡功訓 (Flysound)
協力:NO IDEA, Linus Records, Fly sound, Taguchi

デビュー作『Mirror Flake』以来4年ぶりとなるニューアルバム『Your Thorn』発売を記念した
リリース・パーティーを原宿VACANTにて開催します!共演にはflyrecからのリリースや、オオニシユウスケ
とのユニットSmall Color、そしてWorld’s end girlfriend、空気公団のサポートなど多方面で活躍する
音楽家trico!、そして12Kからの諸作で知られる女性音響作家、メディアアーティストsawakoの出演が決定!
Cokiyuは新作『Your Thorn』からの楽曲を中心に、d.v.dやトクマル・シューゴなどで知られるitokenを
全面サポートにロングセットを披露します。
ライブ後には”Your Thorn”リミックス・コンテストの優秀作も決定しますので、こちらもお楽しみに。
皆様お誘い合わせの上、ぜひご来場下さい!



 


MVもチェケラ!!!

2011年9月5日月曜日

cokiyu - Your Thorn


先々週に公開したcokiyuのYour Thornのトレーラーが、フルバージョンで公開になりました。


今回のビデオはcokiyuの2ndアルバム"Your Thorn"のタイトル曲に映像を付けることになったんですが、曲の構造がA→B→C→A→B→Cというポップスのような明快な楽曲構造(リフレイン形式)と、目を閉じて聞いた時の音楽のダイナミクスの気持ちよさは、 僕が普段やっているようなグラフィカルでシステマチックな演出では曲の良さを引き出せないと考えたので、今回はナラティブ(ストーリー性のある)な展開と、音楽と空間のダイナミクスの調和や、時間の持つエネルギーを演出の基本と考えてビデオの企画を練っていくことに。


プロットの段階でcokiyuさん本人のYour Thornという曲に対する想いや、曲を聴いたcokiyuさんの友人の感想と、僕が考えていた曲を映像化するアイディアである「胎内記憶/反復説」のイメージが幸運にも近かったのが印象的でした。と言いつつもcokiyuの音楽性が持つ優しさや暖かみ、可愛らしさを映像でビジュアライズしても面白くないので、「不気味さやグロテスクさも垣間見えるようなキャラクター造形」「闇の世界」「過剰なコンポジット」の三本柱が今回の世界観を作るうえでの基本になっていきました。前回のanimatopeまでは「アニメーションとは光の運動」という意識の中作っていきましたが、今回は「アニメーションとはフレームの中から世界を広げる行為」という考えを意識的に取り入れて作っています。モンタージュ効果やPOV(主観映像)を使ってカメラを第三者の俯瞰した視点 から登場人物の視点に移り変わったり、フレーム外の存在を意識させるカットを所々取り入れる事でフレームから世界が広がるように意識させるように心がけてます。
















プロット段階でのイメージボード
この時の主人公のデザインもクリオネの様なイメージだった















最終的にクラゲの構造と天使の翼を組み合わせたイメージに決定



制作の話をすると、以前SSTVの企画「CANVAS1.0.0」で発表した「animatope」の技術や世界観を展開させています。動きに関しては、アニメーションのほとんどがパスやマスクのアニメーションで作ったり、ディストーション系のエフェクトを1フレ〜3フレ単位で動かしていています。(単純な動きの場合はフレーム補間)手書きの要素は一切ありません。あと今回は外部のプラグインやイラレやフォトショなどの外部の素材も最初のタイトルのフォント以外は一切使用していません。一見パーティクルっぽい素材も見えるんですが、一つ一つ素材を作ったり動かしたりしてコンポジットしてます。この手法に特別こだわりがあってやっている訳じゃないんですが、オリジナリティを出すために外部(手書きなどの作家の身体性がダイレクトに伝わる技法)で素材を作るのはコンピューターに負けた気がしてしまうからです。


演出的に初めての事も多く、しかも5分近くあるMVは今まで作ったことが無かったのでプレッシャー のかかる中の制作でした。結果的に自分にとって新しい方向性が開拓出来たので、今後またこの世界観を展開/洗練させる機会があれば良いなぁと思っております。

2011年8月25日木曜日

cokiyu - Your Thorn [Trailer]


ご無沙汰しております。
電子音楽家"cokiyu"の2ndアルバムのタイトル曲「Your Thorn」のMVを作らせていただいているのですが、先日からトレーラーをvimeoとcokiyuのyoutubeアカウントで公開しました。まだ制作中なので込み入った事はお話出来ないのですが、演出的にも技術的にも過去に自分がやらなかった事を積極的に取り入れています。




































ビデオのフルバージョンはアルバム発売日(2011/09/14)の一週間ぐらい前には僕のvimeoアカウントで先行公開出来るかもしれません。その際はまた改めて見ていただけると幸いです...

2011年6月22日水曜日

音が見える!? 音符や楽譜を取り入れた映像作品「Music Painting」など三連発!!























てな訳でwhite-screen.jp様に学部四年に制作した「楽譜の落書き帳」が紹介されました。
チェケラ。

2011年6月5日日曜日

Kinetic Safari



というわけで、今年の4月にインドネシア@ジャガルタで行われたインスタレーション「kinetic safari」がaircord社のvimeoアカウントから公開されました。

Kinetic SafariはXBOX360のkineticに人間のボーン(骨格)をスキャンして、建造物に投影されたキャラクターと人が同じ動作をして音楽を奏でるインスタレーションです。僕はキャラクターのデザイン&2Dアニメーションを担当させて頂きました。

キャラクターをデザインする際、人間の骨格にキャラクターを当てはめることを前提にしつつ、動物と音楽を組み合わせたキャラクターを設計しなければいけませんでした。普段のアニメーションでキャラクターを考える際、自由にキャラクターのフォルムを考える事が出来るんですが、今回はシステムを前提にキャラクターを考える必要があったので、悪戦苦闘しました。

キャラクターは
管楽器のゾウ、アコーディオンのサル、パーカッションのワニの全部で三体。
それぞれ全く異なるシルエットと種族の違う動物をチョイス。昔、とあるゲームデザイナーが「キャラクターの造形はキン肉マンがヒントになる。シルエットだけでも誰が誰だか判別させてくれる。」という言葉を思い出して、極端な体型(デブ・チビ・ガリ)になるように設計。テイストして最終的にHIPHOP調のちょっと、悪い連中になるようになりました。ラフ案とデモデザイン、最終的なフィックスだとキャラクターのテイストの調整する過程が分かるかと。。



































































































以下制作チームのクレジット
Producer: Toshiyuki Hashimoto (aircord)
Director: Daima Kawamura(projector)
System Design: Koichiro Mori(aircord),
System Design: Yoshito Onishi
Character Design: Takashi Ohashi
Mapping movies: Naohiro Yako(flapper3)
Composer: Takuya Takahashi
Camera: Tomoya Kishimoto(aircord),
Camera: Riza van Malabro

2011年5月15日日曜日

映像作家100 2011のリリパへ




























先日は映像作家100人 2011のリリパへ遊びに行きました。渋谷のクラブ会場に1000人近くも来場者が殺到したらしく、ハコに対して人がぎゅうぎゅう詰めになっていたのが印象的。ライブには蓮沼チームや環ROY、クチロロなどの著名なミュージシャンの演奏に合わせて本に収録されてる映像作家のVJが融合し視覚と音楽の融合が素晴らしかったです。特にVJクイズの映像にはしびれました。。。

VJパフォーマンス自体あまり好きでは無かったんですが、このイベントで様々なディレクターが放つ映像に考えを改めさせられました。MVとは違ったライブという空間での映像体験。自分ならどうアプローチするか、、、とか。

それと、一年ぶりくらいにTakcomさんや細金さんと会ったり(会って早々いじめられましたが。。。)ティモテの井口さんとも挨拶出来たし村井さんとスペシャの小山さんとも久しぶりに再会。同じ多摩美で収録作家でもある志村君にも挨拶出来たし(イケメンでオシャレで映像もカッコ良くて勝てる要素が一つもない、というひらのりょう君の言葉に大変共感した。。)、twitterで挨拶してくれたファンの方にも会えてとても嬉しかったです。

クラブ(というかパーティー)慣れ出来てないんで色々戸惑いましたが、こんな素敵なイベントに誘って頂いた編集部のみなさまにはホントに感謝感激です。。

本当に励みになります。



2011年4月16日土曜日

日本の映像作家100人2011



このblogはなにげに近状報告とかnews替わりに立ち上げたのに、作品が出来たらその事しか書いてなかったのでちょっと報告的なエントリーでも。。

2011年4月25日から発売になる「映像作家100人2011年度版」に、なにを血迷ったのか僕の作品を掲載していただける事になりました!


「映像作家100人 2011 JAPANESE MOTION GRAPHIC CREATORS 2011」http://www.amazon.co.jp/dp/4861007747


映像やアニメーションに興味を持ち始めたころに、この年鑑の第一弾を手に取って読んだ覚えがあって、ソレ以来いつかこの年鑑に自分の作品が載るのを目標にしていました。これを励みに一段を精進しようと思います。。。

2011年2月7日月曜日

SSTV CANVAS_1.0.0 Animatope(2)





僕は普段からビジュアル・ミュージックをテーマにビデオ作品をいくつか作ってきましたが、その多くがエレクトロニカや電子音響系のサウンドを可視化することがほとんどだったし、関わってきた人もメディア系に属する人達でした。しかし今回のIDでは普段関わった事のない文脈のコンポーザーさんと歌手の方とのコラボレーションが特徴だと思います。


コンポーザーは様々なインディペンデントアニメーションの音楽を手掛けた羽深由理さん。羽深さんは音大で映画音楽の作曲を専門的に学んできた方で、彼女が関わった作品の代表作として大桃洋祐監督の「輝きの川」のBGMを手掛けています。




羽深さんは幼少のころからバイオリンやクラシックを学んでおり「生音の良さ」に対する理解の深さと、作曲理論を活かした「アイディアに合った音楽」が作れる方だと判断しました。また、今回のIDの制作の意気込みとして自分自身の表現を開拓したかったので、まったくの異分野のクリエイターとコラボする事も理由の一つです。もともと、羽深さんとの出会いは輝きの川ではなく、その後に制作された同じ大桃監督の「Farm music」というミュージカル風のアニメーションでした。音楽の完成度が非常に高く、映像に全然負けてなかったのがすごく印象に残ってます。





そして、もう一人コラボレーションした方でシンガー兼ミキサーのPUPI君。彼の起用は羽深さんの提案でした。どんな雰囲気の曲にオノマトペをのせるかという話し合いの中で、一人の歌手が曲中のオノマトペを歌う、、、つまりアカペラ的な感じにしようと決まった際にPUPI君の作品を紹介してもらいました。




PUPI君は普段はニコニコ動画で「全部俺の声」というジャンルで高い人気を誇っている「歌い手」の方で、FFやドラクエなどのゲームミュージックや、「歌ってみた」系のミキサーとしても活躍されています。PUPI君は歌手としてのスキル(女性の音域まで出せる)やミキサーのノウハウ、そして声優のような声色を自在に操るといった、僕が求めている能力を全て備えていたのに驚かされました。


今回のIDの制作は、作業そのものは完全に分担ですが、ビデオや音楽の演出は三人でやり取りしました。その制作の過程は。。

◯劇中で使うオノマトペの候補をひたすら挙げる
オノマトペといっても何か決まり事がないと選びきれないので「動き」を表すオノマトペだけを使う事に決定。

◯オノマトペの種類を振り分ける
候補に挙ったオノマトペを清音と濁音、半濁音などの種類に振り分けて曲に使えるかどうか判断。特に濁音や半濁音が多過ぎると曲にした時に音楽が濁ったような印象になるので、濁音などはリズム隊やアクセントとして使いました。

◯ストーリーの流れが決定
生命の循環を連想させるストーリーに決まった時、架空の生命観というか時系列のイメージでオノマトペの流れを考えました。最初に使うオノマトペを「ドックン」最後は「わらわら」に決定して、その間をどう補完してくかを三人で話し合いました。

◯デモ音源とスケッチボード制作
羽深さんにはMIDI音源でリズムだけ決めてもらい、僕はカンタンなスケッチをキャッチボールするように投げ合い、そこから少しずつ完成に近い形のMIDI音源やデザインボードに発展させました。

ちなみにここまで来るのに約二ヶ月かけています。。。

◯アニメーション制作と音源収録
デザインボードとMIDI音源がフィックスしたら本格的にアニメーションと音源の収録に入ります。ここで難しかったのは、アニメーションを最初に作ってからPUPI君の声を収録した後に、声とアニメーションを合わせてみるとシンクロ感が上手くいってない所がありました。音源の収録語に、アニメーションを一部作り直したりしましたのを覚えています。

声も楽器音も同じ音に違いはないはず(周波数の組み合わせ)ですが、IDの制作の過程で映像と肉声をシンクロさせる事に難しさを感じました。楽器音とは違って言葉には「音素」と「意味」が含まれています。音素というのは母音と子音の事で、例えば「にょき」ならn,y,o,k,iというように五つの音素が含まれてます。異なる音素の絡み合いに よって楽器音にはない音の詰りのようなニュアンスを感じるので、実際に音に合わせてアニメーションを加えてみると、数フレームの動きの違いで音と映像のシ ンクロ感がまったく異なる事が分かりました。音素の組み合わせが複雑ではないもの、、、特に「ッ」を使うオノマトペは、イントネーションによって感じ取れるアニメーションの緩急を試行錯誤させられました。

余談ですが、収録の際にPUPI君が声優のようにビデオを見ながら歌を録音するスタイルをしていたのはとても楽しかったですね。


その後、音源のミキシングをPUPI君に仕上げてもらってビデオが完成した、という感じになりました。ミキシングの際に重要だったのは「生音を活かす」事でした。あまりエフェクトをかけて肉声の生々しさが消えてしまったり、オノマトペを使ってるか分からなくなる可能性があったのです。



今回のビデオではオノマトペと映像がシンクロする事に着目されがちですが、実はビデオの構造と音楽の構造もシンクロしています。映像の展開に応じてどんどん画面上に移動するようになっていますが、音楽もそれに応じてどんどんキーが高くなっています。作曲を担当した羽深さんがビデオの構造を汲み取ってくれました(実は変拍子も使われてます!)。下の画像はアニマトペの楽譜(実際の音源はこの楽譜からさらに書き加えています)とビデオのシーケンス画像です。

















サムネは下から上へ上がってゆくように見ていただければビデオの構造が分かると思います。




プロットからビデオのフィックスまで約3ヶ月時間を使って制作しました。たった30秒のアニメーションでこれだけの手間ひまをかける事も当分はないかもしれません。それと面白かったのが、三人とも普段自分の作品を公開してる場が異なる事でした。僕はvimeoだし羽深さんはyoutube、PUPI君はニコニコ動画。。。CANVASからの各メンバーのリンクを見ても三人とも雰囲気が全然違っているのが面白かったです。

今回のID制作で異なる文脈の方とのコラボや、言葉の可視化といった自分にとって様々な発見と学びを得ました。そしてなによりも、今回のIDは自分の力以上に羽深さんとPUPI君の協力あってなし得た事だと思っています。クレジットにディレクターが僕の名前しか載ってないのが何とも申し訳ない気持ちでいっぱいです。。

羽深さんとPUPI君とは、またなにか別の機会で共作出来ればと思います。かなり刺激的な時間を彼らと過ごせて本当に幸せでした。。。そしてIDを作るキッカケを与えてくれた担当のSSTVの方にも感謝です。ありがとうございました!

2011年2月6日日曜日

SSTV CANVAS_1.0.0 Animatope(1)




久しぶりの更新になりました。
昨年の9月から関わっていたプロジェクトSSTV CANVAS_1.0.0がお披露目になったので、それについて色々書こうと思います。

SSTV CANVAS_1.0.0
とはSpaceShower TVという音楽チャンネル内で放送されるステーションID(チャンネルのID)で、SSTVからお題が用意されるわけではなく映像作家の自由な表現が許されるキャンバスのようなものです。9月にSSTVの方からお話しを頂き参加させていただける事になりました。実際に参加してるディレクター陣はすごい豪華で、なぜ僕がココにいるのか。。。



今回のエントリーは主にIDのプロットを中心にお話ししたいと思います。
音楽チャンネルのIDというと、ロックやダンスミュージック、エレクトロニカといった音楽を扱ってるものが多いと思います。なので、音楽チャンネルっぽくないクラシックや声楽のような生音を活かしたモノを軸にしたIDを作りたいと思ったので人の声、、、オノマトペを使ったビジュアル・ミュージックを提案しようと考えました。



オノマトペをリサーチする際に、日本語の構造やルーツの存在が気になりました。そこで大和言葉に関して調べるとソレらはほとんど言葉の冒頭に濁音を扱 わない事が分かりました。例えば「ぬいぐるみを抱く」を大和言葉に置き換えると「ぬいぐるみをいだく」になります。他にも薔薇→イバラという言い方になります。ここで分かった事は当時の大和言葉には言葉の頭に濁音を扱うのは擬態語/擬音語だけだったようです。つまりオノマトペの特徴として、普通の言葉ではあまり使われない濁音を扱うことで「オノマトペを発する気持ち良さや楽しさ」があるんじゃないかと考えました。




言葉と図形の関係をテーマにした作品、、、特に同じオノマトペと視覚表現の関係性をテーマにした前例を探ると谷川俊太郎原作「もこ もこもこ(画像上)」や「かっきくけっこ」などが挙げられます。これらの絵本には親子が絵本を見ながら書かれている言葉を読むことで「言葉を発する楽しさや気持ち良さ」が良く表現されています。ビジュアルもシンプルなアブストラクトで言葉の持つ質感などを図形や色調の変化だけで表現されています。実際に僕のIDも谷川俊太郎の絵本にかなり影響を受けました。



もし、オノマトペを可視化したアニメーションを作るなら上記のような事をそのまま映像化しても意味がないと考えました。「アニメーションでやる必然性」を考えることが、今回のIDのキーになると思ったのです。アニメーションの語源でもある「アニマ=魂」をオノマトペに宿す新しい生命「アニマトペ」を作ろうと決めました。



余談ですが、ビデオが完成した後に観に行ったICCの企画展示の「みえないちから」で、学芸員の畠中実氏のテキストにこのような文章が書かれていました。 「オスカー・フィッシンガー(1900–67)は,「すべてのものに精霊が宿っている」と言い,その精霊を解き放つためには「そのものを響かせればよい」と 言いました.この言葉は,アニメーションの語源が「アニマ(生命を吹き込むこと)」であることを想起させるとも言えますが,それ以上に,あらゆる物質がその中にエネルギーを宿しているということをほのめかす言葉だと言えるでしょう.」 畠中さんのテキストに自分達がやりたかった事を明確に言葉にしていて感化されたのを覚えています。





本題に戻りますが、ビデオのルックは出来るだけ抽象的にしたかった。その理由は「どんな姿・形をしてようと、運動によって生命感は表せる」という事を感じてもらいたかったからです。これはアニメーションの面白さを絵画的なテクスチャー表現やグラフィック的なルックの格好良さで勝負しないで、動きでオノマトペの質感や生命感を表したかったからです。リンクの動画やキネティック・アートのテオ・ヤンセンなどを見れば分かるように、動物の姿を模倣してなくとも運動によって生き物っぽさは表現出来ることが分かります。そこで、劇中で使うオノマトペは「運動」を表すものに限定してチョイスして、それに合うような動きと形で言葉の生き物を表現しとうよ決めました。映像の演出も生命にちなんで、生命の循環や食物連鎖をイメージした映像の流れを考えて行きました。


曲も生命を連想させることをイメージして民族音楽、、、特にケチャから発展した曲にしようと決めました。ケチャの持つ心臓の鼓動のような同じ言葉を繰り返す感じが、オノマトペを音楽にのせるにはピッタリだと判断しました。



一見シンプルな曲に聴こえますが、実際には様々なリズムが重なっているそうです。シンガーの方は何度も「この曲難しい!」っておっしゃってました。 


プロットのお話しはココまで。次は演出のお話とコラボレーションした作曲家さんとシンガーの方の紹介をしようと思います。