2012年2月28日火曜日
【満員御礼】修士制作展が終了しました
先日(2/26)に僕が所属する多摩美術大学大学院 情報デザイン領域修士制作展2012が終了しました。来場者数は4日間で330人以上。運営してる人数も少なかったので展示に少なからず不備はあったと思いますが、最終的に展示としてちゃんと成立してホっとしました。見に来てくださった皆様、本当にありがとうございました。
ハコ的に制約が多くて想い通りの展示にはならなかったけど、デザインコース(主に永原ゼミ)との展示はアートコースだけでの運営や展示では得られない刺激があって、とても学びのある経験だたと思います。なにより広報物やカタログのクオリティがすごかったです。。
それはそうと、修了制作の「CHANNELER」がちゃんと完成した形でのお披露目は実は今回が初めてなので、見てくれた方向けに作品について軽くご説明したいと思います。
CHANNELERはSSTVのステーションID"Animatope"のテーマである「言葉の面白さ」を表現することを継承した続編的な立ち位置の作品になってます。ですが、作り手として「期待には応える、しかし予想は裏切る」ような作家になりたいので、AnimatopeやYour Thornとは異なる方法論でアニメーション/モーショングラフィックスを作りたかったし、過去の自分を知ってる人が驚くような作品を見せたかったので、文字とHIPHOPミュージックを使ったアプローチの映像を作ることに構想を練る途中の段階で決まりました。
CHANNELERのコンセプトは「言葉とは、知性に取り憑かれた音である」をテーマとし、人間の内面が言葉に取り憑かれることで化け物になってゆくプロットです。そこで、ビジュアルと音楽、そしてリリックを作ってゆくために一つの方法論をとりました。それは「人間が一生のうち言葉を覚えるプロセスを作品に反映させる」ことでした。例えばリリックは幼少期→少年期→青年期→成人期の四段階にわけて、それぞれ使える言葉の種類(名詞、主語と動詞、接続後や若者言葉、ネットスラングから丁寧度、そして本音と建前)を増やしていく。そして男の人生を表現するためにHIPHOPミュージックの韻を踏む構造にパーティクルのように散った文字(知性が言葉に取り憑いて文字という形を得たことを表現している)が、アスキーアート的な絵文字を描いて男の人生をビジュアライズしていきます。
この作品のアプローチの前例としてよく口口口の「あたらしいたましい」を指摘されますが、あのMVよりもむしろアンドレアス・ヒュカーデ の「愛と剽窃」の影響が色濃いかも。構造的な展開、異系な造形へのメタモルフォーゼ、シンメトリー構図など彼の作品には多大な影響を受けました。(展示中に「愛と剽窃」の影響を気付いたのがanimationsの土居さんだけだったのが意外だった、、いや意外とみんな気付いてたのかもしれないけど)
これだけ構造的に時間軸を組み立てる作品を作ったのは初めてだったので、色々思う様にいかない部分はあったけど多くの方から「面白かった」という言葉が聴けて正直安心しました。それと国立音大の今井先生が来てくれたんですが、お連れのお子さん(3才)がCHANNELER見て「もっと見たい」って言いながら喜んで見てた。子供にウケたのは意外だったし、思った以上に作品の良さを汲み取ってくれる人が多くてホッとしました。成明教授や永原教授が「人とっての豊かさや贅沢さを感じる表現が変わって来てる」って言ってたのを思い出した。これから映像や平面作品が面白い時代になるのかもしれません。
CHANNELERを完成させて、やっと自分が作りたいモノが初めて出来たような気がしました。それも作曲家: 羽深由理と敬愛するミュージシャン: 石田多朗との出会いのおかげです。リリックを書いて頂いたONIPARIに感謝!そして彼を紹介してくれたMUNNRAIさんありがとう!
作品のより細かい解説や本編は初夏ごろにはwebで公開する予定ですので、是非そちらもお楽しみに待って頂ければと思います。
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